あいつと俺。
みんな目を丸くした
-なんでみなみなの?
-やべ、リンチかもよ、
1人の女から
みんな離れてく。
あいつが川崎?
当の本人は全く
俺に呼ばれたことを
気に留めている
様子も無い。
なんだか腹立つ。
150センチ位しかないっぽい
無駄に小柄で
やたら目がくりくりしてる奴。
長い黒髪は
サイドを編みこんで
巻いているらしい、
俺がイメージしていた
いわゆる
[真面目ちゃん]とは
違っていた。
意外に現代風(?)ぢゃん。
完全に上から発言だけど笑
「何か用ですか?」
学年有数の不良で
ある俺を恐れることなく
近づいてきたこいつ。
俺は180の長身で
こいつは
目分量150のちびだから
必然的に上目使いみたいな
感じでちょっと
どきっとした。
「これ、落としてたんだけど
嫌味かなんか?」
俺はこいつを
試しているかのような
口調でそう聞いた。
「別に違うよ笑
ただそうなっちゃった
みたいだね」
あどけなく笑った顔を
不覚にも可愛いと
思ってしまった。
「とりあえず
拾ってくれて
ありがとう笑
なんかくしゃくしゃに
なってるみたいだけど」
俺はテストを丸めたことを
後悔した。
「どいたま、
嫌味みたいなこと
すんなよ、」
良いタイミングで
チャイムが鳴った。
「ぢゃ、またね」
さっと手を振り
踵を返した。
あいつの髪から
香る淡い香りが
鼻にちらついていた。