光をもとめて
「帰ってくるなんて珍しいね」
父さんは無言で突然財布を取り出し、突き出すようにして渡されたのは、1万円札5枚だった。
「今月分の生活費だ。来月はあの女が渡すと言っていた。用はそれだけだ」
「……そっか。ありがとう…」
「ふん、金を捨てるようなもんだよ、まったく」
父さんは冷たく吐き捨てると、すぐに玄関から出て行った。
あたしは壁にもたれながらゆっくり座り込むと、玄関に向かって札を投げつけた。