マザーレスチルドレン
アルコール依存症だった父親に日常的に


受け続けた暴力、預けられた児童養護施設の牧師に


強要された性行為、少年鑑別所の職員による想像を越えた虐待の数々。


周囲の大人たちから受け続けた嵐のような暴力によって


金髪の人格は荒廃して崩壊寸前だった。


だがやがて弱者に暴力を振るうことで精神の平衡性を


取り戻すこと覚えた。


そうやって憎悪は継承された、不毛な暴力の連鎖であった。


「さあ、殴るのも飽きちゃったから、とどめといこうかな」


そう言うと、金髪は、腰ベルトに装着してある皮製の鞘から


ダガーナイフを抜いた。


そしてニヤリと笑うと


「ぶっ殺してやる」


金髪はハルトの喉元に狙いをつけダガーナイフを振り上げた。
< 111 / 178 >

この作品をシェア

pagetop