マザーレスチルドレン
炎はまるで大蛇が地面這うように床の上をゆらゆらと広がっていった。


灯油の跡ををくねくねとたどると大蛇は父親のコートに達した、


しっかり灯油を含んだ繊維は勢いよく燃え上がった。


あまりの熱さに驚いて父親は目を覚ました。


父親は飛び上がるように立ち上がって振り返えると、アユミのほうを向いた。


そして自分の置かれている状況に気がつく間もなく、その激しい業火の責め苦に断末魔の叫び声をあげた。


勢いよく燃え上がる父親に向かってアユミは『ザマアァーミロ!』と叫んだ。


口が動いて父親は何か言いかけたように見えたが瞬く間に一本の火柱と化した。
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