マザーレスチルドレン

真夜中の銃弾

牛刀の刃先を自分の喉下に突きつけたその時、どこからか微かに声が聞こえた。


猫の泣き声のようだった。ケンイチは声のするほうに歩いていくと、院長室の前に着いた。


ドアの前に立つとそれははっきりと聞こえた。


それは猫の泣き声じゃなくアユミの喘ぐ声だった。


ケンイチはドアを空けた、鍵は掛かっていなかった。


アユミの白い肌がケンイチの目に飛び込んできた。


院長のカリヤが机の上のアユミに覆いかぶさっていた。
< 153 / 178 >

この作品をシェア

pagetop