マザーレスチルドレン
レイコはまた頭を下げる、そして自分の履いているスニーカーを見つめた。


それは履き古してもうぼろぼろだった。


涙が出そうになった。


惨めだった。


「ああ、いーのよ。気にしなくて。


それより今度主人と一緒にお店にお邪魔するわね」


見送りに出たナカシマ夫人がレイコ達に微笑む。


「オタクのお店の唐揚げ定食すごく美味しいって評判だから、ねえ」


「うん、一回食べておかないとって、いつも二人で話してるんですよ」


隣に立つユイの父親、ナカシマが言った。
< 38 / 178 >

この作品をシェア

pagetop