マザーレスチルドレン
ハルトはしきりに後方を気にしてる。
「アイツら気付いたかな」
「どうやら付いて来るみたいだぞ」
マスターはルームミラーに映る三台のバイクと
一台の黒いワンボックスカーの影を確認した。
「バイクに三人、後ろのワンボックスには何人か乗ってるだろうな」
国道の大通りに出るとマスターはスピードを上げた。
「結構大人数みたいだね、何か武器になるものない?」
ハルトが訊く。
「うーん、武器ねえ。あ、そうだ後ろの座席の下に金属バットならあるぞ。
日曜日にユウジに野球教えてやるって約束したから乗せてたんだった」
「一応、用意しとくね」
ハルトは体を捻って後部座席の足元にある
金属バットを取って膝の上に置いた。