マザーレスチルドレン
ラッシュの時間が過ぎた駅の構内は、


家路を急ぐ人ちが数人いるだけで閑散としていた。


追跡してきた集団もロータリーに着くと


ライトバンを取り囲むように停車した。


ライトバンの前後に少年二人のバイクが停まり、


ワンボックスカーは後方に少し距離を置いて停車している。


「どうするマスター?」


「うん、奴らもここじゃあ手が出せないだろ」


「一体なんなの……」


レイコが怯えた様子でいう。


「わからん、でも心配ない」


子供たちも、ただならぬ様子を感じてじっと黙っている。


サングラスの男のバイクがライトバンのすぐ脇に停まった。


「一体、俺達に何の用があるんだ!」


マスターは運転席の窓からサングラスの男に向かって叫んだ。


サングラスの男はバイクに股がったまま、


黙って静かにマスターを見下ろしている。
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