マザーレスチルドレン
ネオシティは、この国なかで唯一華やかな賑わいを見せる市民都市として、


外部の貧しい暮らしを強いられている人々の憧れの都である。


その一見するときらびやかで洗練された市民社会の自由と


平等を求めて侵入者も後を絶たない。


実際外部の都市や高濃度汚染地区と指定された土地からの


不法な侵入者は年に数千人を数えた。


しかしネオシティは外部と分断されていて人々の自由な行き来は


実質不可能であった。


ネオシティの周囲には高さ八メートルに及ぶ厳重な要塞壁


が張り巡らされていた。


南北には外部とつながる二つのゲートが存在した。


そこにはそれぞれ武装した政府軍のゲートキーパーが


二十四時間体制で監視しており、


外部から近づく者は即座に射殺された。
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