武闘派
やっちゃんの背中を押して、私はトイレに入る。

しばらくここで時間をつぶして、やっちゃんと別行動しなきゃ。

携帯で10分くらい経ったことを確認してトイレを出る。

「長かったな。」

廊下に出ると、やっちゃんが壁に寄りかかっていた。

「先帰ってって言ったじゃん。」

「一緒に帰ろう。」

「私、図書館に寄るから。」

やっちゃんと一緒にいなくて済むように。

「じゃ、俺も行こ。」

「やっちゃんが行くなら私帰る。」

「じゃ、一緒に帰ろうよ。」

「嫌。」

こんな押し問答続けても、何にも意味ないこと本当は分かってる。

「そんなに俺うざい?」

やっちゃんの瞳が曇る。

「うざいのは、やっちゃんファン。」

イライラが声に現れる。

「やっちゃん早く彼女つくりなよ。」

「なんだよそれ。」

やっちゃんの声にもイライラが現われる。

「やっちゃんファンの集中砲火にあわずに済むもん。」
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