武闘派
仕方なく私はやっちゃんと一緒に帰ることにした。

「千穂、ごめんな。」

教室に鞄を取りに戻る途中、やっちゃんは急に立ち止まって真剣な声色で、謝った。

「やっちゃんが謝ることじゃないよ。」

この話をもうしたくなくて、私はそのまま階段を上る。

「でも…」

やっちゃんは納得のいっていないような声を出して、私の右腕を掴んだ。

ふわっと後ろに引っ張られて、あやうくバランスを崩しかける。

「ちょ、あぶな…」

文句を言おうと思って、振り返ると悲しそうな顔をしたやっちゃんと目があった。

「やっちゃん、どうしてそんな顔…？」

「俺のせいで、ごめん。」

やっちゃんはまた謝った。

「本当に、ごめん。」

そう言って、私の髪に手を伸ばした。

あ、そうか。

私の髪が切られたことに罪悪感を抱いてるんだ。
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