武闘派
信頼関係
「千穂、大丈夫か?」

校舎に入ると、やっちゃんは立ち止まって心配そうな表情で私の顔を覗き込んだ。

「…大丈夫、だよ。」

そう言って気付く。

私、声が震えてる。

「ごめんな。もっと早く千穂を見つけてたら…。」

繋いだ手にギュッと力が込められた。

「……っ」

やっちゃんの手の温もりに、胸の奥がジワッと温かくなって、泣きそうになる。

「泣いて良いよ。」

やっちゃんにそう言われるだけで、もう涙を止められそうにもない。

「…やだぁ。」

こんなことで泣くなんて、私情けないよ…。

「"泣き虫ちーちゃん"のくせに我慢するなよ。」

「…泣き虫じゃないもん。」

まったく説得力のない声を出しながら、私はやっちゃんの胸をどんどん叩いた。

「はいはい。」

あぁ、私完全に手のかかる子だ…。
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