武闘派
不器用者
「おはよう。」

朝家から出ると、やっちゃんが玄関の前にいた。

「やっちゃん、どうしたの?」

「学校、一緒に行こう。」

最近、やっちゃんと一緒にいること増えちゃったな。

でも、やっちゃんファンに睨まれないように距離を置いていたけど、結局意味なかったし…。

「今日晴れたな。」

にっこり笑うやっちゃんとは正反対に、私の気持ちは晴れない。

「テルテル坊主逆さに吊るしとけば良かったなぁ…。」

スイミングバッグを蹴りながら歩く私を見て、やっちゃんは笑った。

「カナヅチ卒業したんだろ?」

……。

去年たった一回だけ25m泳げたんだけど、それ以外は悲惨なものだった。

「むー。」

やっちゃんだって小さい頃は泳ぎが苦手だったはずなのに…。
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