君への歌を
友希の両親の葬式の日
俺はまだ治りかけの手足だったけど
歩けるまでになっていた
葬式はほんとうに静かで
空気がとまってるみたいだった
俺はまっさきに
友希の姿をさがした
あいつを今独りに
したらだめだとおもった
・・・友希は人目がない
式場の裏でうずくまっていた
「 ・・・友希? 」
驚いたように
ビクッっと顔をあげた
「 広人っ・・・ 」
・・・おもったとおりだった
「 やっぱりな
また独りで抱えこんでんな 」
友希の目はあかく腫れ
腕に傷跡がのこっていた
「 またストレス
自分にぶつけてんのか 」
友希はとっさに腕をかくしていた
「 ・・・広人って
なんでもわたってるね
わたしのこと 」
明るくいおうとしていたけど
声は少しふるえてた
友希をここにいさせてたら
だめだとおもった
「 友希 葬式おわったら
あそこにつれてくから 」
「 あそこって・・・」
それだけいって俺はもどった
----あそこ
ほかの人にとっては
全然『とくべつな場所』じゃ
ないかもしれない
でも俺たちにとっては
『とくべつな場所』だ