秘め事
『愛莉飲みすぎだよ』

「まだ平気」

『もうこれ以上はダメだよ』

「嫌ッッ!!」



私の手からワイングラスを取り、飲ませてくれない聖也。


奪い取ろうと手を伸ばすと、聖也の手が私の後頭部に回り、唇を重ねられた。


同時に口の中にはワインではなく水が広がる。



『いい子だ』



私が飲み込むと口から零れた水を拭いながら、まるで子供を褒めるかのように私を褒める。


聖也はたまにこうやって私の事を子ども扱いする。



「子ども扱いしないで」

『怒った?』

「…怒ってない」



顔を背けるとククッっと笑う聖也。


聖也には敵わない。





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