追いかけっこ(仮)


私はある部屋の壁に、
五芒星を描いた。


「何やって……、」


ガチャン。


ゆっくりと壁が開ける。
開いた先には、一つの部屋が広がっていた。

私は驚いた様子の龍樹を一瞥すると、
無言で部屋に入っていった。

龍樹も私に続く。

龍樹が中に入ったことを確認すると、
私は壁に手をふれた。


ヴィーン。

ゆっくりと壁が閉じていく。


「ここは……?」


龍樹は部屋の中を見回しながら、
私に聞く。

「私の秘密部屋。」


そう、風音の言いなりになってしばらくしたときに、
風音のお母さんが特別に作ってくれた、
絶対風音の入ってこれない安息の場所。


< 193 / 195 >

この作品をシェア

pagetop