【短】「好きだよ」~伝えないと決めた想い~Another side
「お父さんの一件があってから、彼女は何かを守ろうと必死にがんばっていました。
自分がしっかりしなくちゃってずっと気を張っていたんだと思います。
でも僕はそれを見てて、君は一人じゃないのにとずっと思っていました。
彼女には友達も、僕たち教師も、もちろんお母さんだっている。
無理をして強くならなくてもいいんじゃないかって。
でも、そんなことを彼女に言うと、ギリギリで保っている今の精神状態が壊れてしまうんじゃないかって怖かったんです。
だからお母さん。
2人で力を合わせて、お父さんの分も生きてほしいんです。
きっとあなたたち2人なら大丈夫ですよ」
正直大丈夫だって確信なんてないけれど。
それでもこの親子のことを信じてみたいって思った。
涙を流しながら「娘はこんな素晴らしい先生に巡り会えて幸せですね」と言ってくれたお母さん。
そして隣のベッドで、おそらくこの会話を聞いているだろうあいつ。
この2人なら必ず乗り越えて行ける。
それを見届けるのが、今の俺にできることなんだ。