【短】「好きだよ」~伝えないと決めた想い~Another side
もう一度音楽室の鍵を閉めに来たときは、あいつはもう帰った後で。
あいつが立っていた場所に立ってみた。
今更だけど、あんな話をしてよかったのか迷ってしまう。
あいつの涙を見たとき、この気持ちを伝えてしまおうかとも思った。
でも、あいつにはまだまだたくさんの出会いがある。
進学して、やりたいこともみつかるかもしれない。
そんなあいつの足はひっぱりたくなくて。
俺はあいつを好きでいるだけで十分なんだ。
また明日から笑って話ができればそれでいい。
あいつが、笑っていてくれれば俺は幸せなんだ。
音楽室の鍵を閉めることで、俺は自分の気持ちにも鍵をかけた。
俺の気持ち、わかってくれてるといいな。
「俺もつくづくわがままだよなぁ…」