戦場のガールズライフ~派遣社員奮闘編~
「好きなの選んで」


「どれでもいいんですか?」


「最後だからね、特別。高いのでもいいよ」


「外の自販機のでもいいですか?」


「ちゃっかりしてるなぁ」


車体ハウスは一階が製造現場、つまり工場で二階が技術員室だった。現場と技術員室を行き来する階段は2つ、その階段下に自動販売機がある。


1つはボタンを押すと紙コップが出てくるタイプで値段は70~100円。もう1つは紙パックに入っているタイプでこっちは60~110円。紙パックの方は私がいる6年の間に一度、値上げをしていた。


値上げをする前はワンコインでいちごミルクとかカフェオレが飲めたのに…10円、この10円がくせ者なんだよね。10円が手元にない時は買うかどうか悩んだ。だってじゃらじゃらお釣りが増えるの、イヤなんだもん。お財布がパンパンになるし。


で、缶ジュースの自販機は建屋の外にあった。屋外に出るのが面倒だからあまり行かないけど、本当は缶ジュースの方がいろいろと種類も豊富だし、好きだった。


「ごちそうさまです」


熱いミルクティーの缶を両手に持ちながらお礼を告げると、山杉さんもやっぱり、私の明日からのことを心配してくれてるようだった。


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