戦場のガールズライフ~派遣社員奮闘編~

荷物をまとめてコートを手にして立ち上がる。玄関までまっすぐ歩いて行き、靴を履く。一人暮らし用のワンルームだから玄関なんて大層なものじゃないけど。


ハットリ君は律儀にも外まで送ってくれる気満々で、靴を履こうとしていたので私はそれを止めた。


「いいよ、ここで」


「俺がそうしたいの」


「私はここでいいの」


靴を履いて顔を上げると、それを待っていたようにハットリ君が顔を近付けて来た。あ、クソ。


しゃーねぇなぁ。こういう時だけ強引ってどうよ。拒めないじゃん。


少し長めに唇を押し付けられて、受け入れるこっちの身にもなりやがれと心の中で文句を言う。けど、こういう所が可愛いんだからしょうがない。


引き際の知らないハットリ君の服を引っ張ってやると、ようやく放れてくれた。満足そうに笑う顔はやっぱり22歳だな。あどけないや。


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