誰よりも。
いつもの放課後。


“また泣かれちゃった…。”




あくまで平気を装って笑うアナタが、けれど内心すごく落ち込んでるってわかってる。

短い付き合いだけど、いつも傍にいるから。

一番近くにいるから、わかるんだ。




“また?困ったね…。”




苦笑して、前の席に後ろ座りする彼に言う。



私は

アナタみたいに

上手く笑えない





“ほんと…何でかなぁ…。

《好きじゃないんでしょ!?》って、好きだから付き合ってんのに…。”





子供っぽい顔でも、はき出されたため息は大人っぽい。

その行為にチクリと心に感じる痛みは、何度あっても慣れない。





本当は知ってる。

何で、彼が彼女に泣かれるのか。

何で、彼が責められるのか。





彼女いるのに、私といる時間の方が多いなんて、女の子なら許せないよ。

しかもふたりっきりで帰ることもあるし。

息が白くなるこの季節、必ず手を繋いでくれるし。

ふつうは、彼女以外の子とそんなことしない。





彼女は 私に嫉妬してる

だから もう……







そう言えないのは、この場所が、関係が好きだから。

今までに彼が何人の子と付き合って、何人の子と別れるのを見てきたか。

傷付けてる原因は私なのに、責任とって傷付くのはいつだって【彼】。



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