プラスマイナス、

次第に男の視線は僕に移った。



「驚いたな。お前が他人にそんな話をするなんて。」



向けられた視線はかなり鋭くて、下手すれば頭からがぶりと喰われるんじゃないかとさえ感じた。



「単に面白い話だからしてただけですよ。あたしはまだ子供だから難しい話はわからないけど、なんとなく理にかなってる気もするし」



「…あの、」

空気に耐えきれず、声を出すと紘奈は思い出したかのように僕に向き合った。



「あ、そうそう。この人がちょっとの間お世話になった斎木俊英さん。今の話をあたしに教えてくれた人なの。斎木さん、こちら幼なじみの吉岡誠斗くん。」