プラスマイナス、
「…斎木だ。よろしく」
「あ、は、はい…」
斎木さんが握手を求めて伸ばした手をとろうとしたとき、紘奈が伸ばしかけた僕の手をとり立ち上がった。
「じゃ、あたしたちはこれで失礼しま~す」
「えっ、ちょ、」
紘奈に引っ張られ僕も立ち上がり、公園の出入り口に向かった。
「紘奈。」
紘奈を呼ぶ斎木さんの声に、彼女は振り向きもしないので、代わりに僕がちらりと振り向くと、鋭さは変わらないものの、目の奥には純心ささえ見えた。
「時がきたら迎えにいく。その時お前に拒否権はない。」
紘奈は返事もせずに僕を引っ張り公園を出た。