過去との決別

父は私に覆い被さり、ニコニコ笑いながらキスをしてきた。

これくらいなら、“娘に対する愛情表現”として終わるだろう。

けれど、違った。

そもそも、子供が嫌だと言うことを続けてしまった時点で虐待ともとれるが、私は親に嫌だと言えなかった。

そう育てられていたから。
親に反対意見を言うことは、悪、だった。

父の舌が口に入ってきた時に、どうしても気持ち悪くて、私は笑ってふざけているフリをしながら父を押し返した。

粘膜の接触は不潔に感じた。

体の内側に、入ってはいけない気持ちの悪い物が入っていってしまうようで。

その日はそれで終わったが、この日から悪夢が始まることとなる。
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