涙のスイッチ
「もう大丈夫だろ?東京戻って、ちゃんと学校行けるな?」


「…っ…っ…。うん…行ける」


「嫌な事や困った事があったら、すぐに思い出せ。1人で歩いてるんじゃない、美和はオレと歩いてるんだ。なっ?」


「うん…。迪也くん、ありがとう…」


迪也くんとジョンと最後の夜のお散歩は。


いつもより遠回りして、ゆっくり歩いた。


涙が凍ってしまいそうな、雪が降りしきる北海道の最後の夜。


繋いでくれた大きな手のぬくもりを、あたしは忘れない。


雪とジョンと迪也くん。


また会えるよね?


って。


言葉にできず迪也くんとお別れした夜は、一晩中雪が降っていた。
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