涙のスイッチ
久しぶりの迪也くん。


プリクラや写メがない分、ぼやけてしまいそうなあの不器用に笑う迪也くんの表情は、くっきりとあたしの脳裏に焼き付いていて。


思い出す度。


きゅん…となる。


あたし、ちゃんと話せるかな…。


会える嬉しさより、不安の方が大きくて。


なんか、バカみたい。


迪也くんの親切とか優しさに甘えて、勝手にあたしばっかりドキドキして。


迪也くんにとってあたしは、危なっかしくて放っておけないわずらわしいコ。


わかってるのに。


迪也くんを追ってしまう。


ダメ…だよ、ね。


あたしはあたしのココロに鍵をかけて約束したんだ。


迪也くんには迪也くんの選んだ道を、って。


手を引いて歩いてくれると言った迪也くんだけど、2人の歩く道は、違う。


雪の中で助けてくれたあの日は、たまたま偶然道が交差しただけ。


歩くべき道は。


違う。
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