BOND
真冬の海って寒いよ?





「あの‥寒くないですか?」


「‥朝の海は無になれる。」





男の人は海を見つめて笑った。




「え?」





無?





「昼の海は楽しくなるし、夕方の海は切なくなる。夜の海は寂しくなる。朝は、無になれる。」





そう言って私を見た。





「っ…。」





無。か。







カシャ。





「え?」






男の人を見ると私に携帯を向けていた。





「俺の名前は秀。」



「っ‥!」
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