恋する事件簿【完】
「どこから走って来たの?」



「地下です…。1人、呼吸が苦しそうな子が居て…逃げられないと思ったんですが…。貴方に似た人が来てくれて…」



…“貴方に似た人”…。



「そう。話してくれて、ありがとう。最後に一つ。ここの地下は旧舎と繋がってる?」



「繋がってます…」



野神刑事は俺を見た。

さっき話してた消防士が、「野神さん!」と誰かに話し掛ける。

野神刑事かと思えば違う人。



「この煙りは、催涙スプレーではありません」



「…催涙スプレーじゃない?」



会話を聞きながら、俺は野神刑事に、先に出るように告げた。
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