Loss of memory ーアルコバレーノの奇跡ー
記憶のない少女



太陽が傾き、日が暮れる頃。



「キルト様、人が倒れております」



キルトと呼ばれた男は、数メートル先に目を懲らした。

すると、確かにそこには髪の長い少女が倒れている。


ゆっくりとそちらに近づき、キルトは少女の手前で足を止めた。



「酷い傷だな……」



少女の身体中に切り傷が多くある。

深いものから浅いものまで。

服の上から確認出来るだけでも15ヵ所ほどある。

呼吸は荒々しく、顔も赤く染まっていた。



「キルト様、まだ生きております。手当ての許可を頂けませんか」



キルトのそばにいた男は、少女の心拍と呼吸、傷を確認する。



「あぁ。フラウ、急げ」



「はい」



フラウは近くにいた男から救急箱を受け取ると、テキパキと治療をしていく。

消毒をすると、少女はたまに顔をしかめた。



「どうだ」



「……大丈夫です。まだ傷を負ったばかりのようで、倦んでもいません。これなら深いものでも、傷は残るかもしれませんが治ると思います」



< 2 / 10 >

この作品をシェア

pagetop