うしろ姿



掴まれた腕が、熱い。

掴まれた腕が、痛い。

でもこの痛さが嬉しいなんて、私は狂ってる。



私のこと、好きじゃなくていいんです。

だから…嫌いにならないでくれませんか?


「……どこ、行くの?」

「どこでしょう?」

「…そ、う。」

「ごめん。腕…痛かった…?」


痛々しい赤い掴まれた痕。

もっと、もっと、一生消えないように傷つけてくれればいいのに。



「到着。」

「ここ、航の家…?」

「ん、正解。」

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