いつか君を忘れるまで
「また、ケンカしちゃったの。浮気されて。問い詰めたら、『お前も同じ様なもんだろう』って。夜の仕事してるだけで、全然同じじゃないのに。」

営みが終わると、今にも泣きそうな顔をしながら、サオリさんは話し始めた。

「自分の事は棚に上げてさ。前は『仕事なんて関係ない。お前の中身が好きなんだ』とか言ってたのに、笑っちゃうよね。」

俺は、煙草の煙を吐き出しながら、いつもの様に黙って聞いていた。

「あ~あ。私って、男運無いのかも。」

俺は、ワザとおどけるサオリさんの頭を撫でた。

「もう!良平、そんな事しないの!」

そう言いながらも、素直に頭を撫でられている彼女の目尻には、また涙が浮かんでいた。
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