赤い狼 参





棗の舌が私の唇を時々、ペロリと舐める。



そのたびに、ビクッと体が反応する。



顔から火が出そうな程恥ずかしいのに、反応してしまう。



棗の一つ一つの行動に私の体が反応するのを見るたびに棗は、妖艶な笑みを見せる。



その表情がまた、私の体に刺激を与える。



ゾクゾク、と。



背筋に甘い痺れが走る。




シンと静まり返っている部屋に響く、私と棗のが絡み合う音が聞こえる。




その音を聞くたび、恥ずかしくて、でもゾクゾクして…






…どうにか…なっちゃいそ…う……。







意識が段々遠のいていっている途中に太股に何かが触れた。




…太股に触れた"それ"は服の中に入ってきて、徐々に上に上がってくる。



「んん!?ふぅ、…んっ。やぁ…!棗!」



上がってくる棗のその手に恐怖心が湧く。



棗―――――





止めて!!





知ってる…



私は、この手を知ってる。




この目を、知ってる…――――。




私の脳裏には一瞬、封印していた筈の…―――――






"あの人"とのある光景が浮かび上がった。






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