赤い狼 参





高校一年の時に出逢い、お互いに惹かれ合うようにして恋に落ち、そして、愛した。



18歳になると、迷わず麻美と結婚。



そして、俺等が20歳になると連が産まれた。




その時は、俺が家族を一生大切にしていきたいと思っていた。

いや、そう決意していた。誓っていた。



なのに、麻美は他の男と幸せになる事を選んだんだ。




あの頃の俺は正直、麻美が浮気をしているんじゃないのか…と疑っていた。



でも、信じたくなかった。


自分が愛している麻美はそんな人じゃ無い。と…――




疑いたくなかったんだ。



信じたくなかったんだ。



自分が、捨てられそうになっているのを…




そして、その恐れていた事態は起きた。




「あなたとは一緒に居られない。」




"ふざけんな"



この言葉だけが俺の脳内を埋めつくす。


俺は、こんなにも愛しているのに。


こんなにも、必要としているのに。




「何でなんだ。」



「あなたより、私にはあの人が必要なの。」




そう言う麻美の口を塞いでやりたかった。




――…でも、俺にそんな酷い事ができる訳がない。





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