赤い狼 参
「じゃあ何でさっきから"意外"とか言うの?
まるで、前から私を知ってるみたいじゃない。」
更に疑問を投げ掛ける私に、学はしれっとした口調で
また私を混乱させるような事を言ってくる。
「俺はお前を前から知ってるぞ?」
「うぬ?」
「稚春が俺を知らねぇのは当然。」
「な?」
「俺は稚春をずっと見てきた。」
「………はぁ?」
「だから稚春が《SINE》の姫になった事も知ってっし、表上、大狼の彼女になった事も知ってる。」
「えぇっ。」
「それと、稚春が高校を卒業したら結婚するって事も知ってる。」
「…。」
次々と私の情報を話していく学を、その場で固まって見つめる。
「だから、前から俺は稚春の事を知ってんだよ。」
切れ長な目が私をジッと見つめる。
その茶色の瞳が、私の心の動揺を汲み取るようにして。