天使のキス。
「どうしたの?
愛里?」


悠は屈託のない笑顔で、あたしの次の言葉を待つ。


でも、あたしには――…


「えっと。
忘れちゃった」


――聞けないよ。


悠から目を逸らして「ごめんね」と小さく言うと


「何だよ、それ?」


悠は可笑しそうにクスっと笑った。


その笑顔に、


「ごめん…」


もう一度謝り、


「思い出したら…言うね。
シャワー浴びてくる」


あたしは、悠に背中を向けた。

< 449 / 921 >

この作品をシェア

pagetop