天使のキス。
だって、じいじは、ずっと“じいじ”だったし。


みんなにも、そう呼ばれてたし。


名前なんか、これまで気にしたことがなかったし。


どうしよう。


うっ…
恥ずかしいけど…


ここはひとつ、ちゃんと謝らなきゃ…


「ごめんなさい。
あたし、じいじの名前を知らないよ」


ぺこっと、じいじに向かって頭を下げると――…


じいじは、あたしに向かって、スッと大きな分厚い右手をさしだした。
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