天使のキス。
「悠には――…」


口に手をあてて震えるあたしを見て小さくため息をつき、昴くんは壁から身を起こした。


「悠には空白の2年間がある。
君、悠が17才だって知ってた?」


微かに首を縦に振ったあたしに、昴くんは冷たい瞳を崩すことなく、次の言葉を口にする。


「その2年間。
悠は病院にいたらしい」


「えっ…
病院って…
悠、病気だったの?」


「いや、わからない。
ウチの病院に入院してたらしいけど、詳しいことは俺も聞かせてもらってない。
親はもちろん、悠からも」


「…」


「でもそこに、悠の原点があるのは間違いない」


「…」
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