天使のキス。
「だからね、愛里。
オレは政略結婚でも何でもしてやるよ。
その方が、わかりやすいからね。
お互いがお互いのメリットだけで動く。
そこに感情の入り込む隙間なんかない」


悠の言葉に、あたしはもちろん、隼人くんや昴くんも固まったままだった。


こんなにも愛情に飢えている悠が。
愛情なんか、友情なんか、いらないという。


「ね?
だから、聞かないほうがいい事もあるって、言っただろ?」


揺れる悠の瞳を見ながら、あたしは考えた。


どうすれば、悠の心の傷を癒してあげられるんだろう。


どうすれば、悠に、あたしの気持ちをわかってもらえるんだろう。


悠が本当に心の底から求めている、100%無償の親の愛は難しいかもしれないけど。


それでも、あたしは、悠の心が満たされるように愛したい。
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