天使のキス。
壁に寄りかかって、腕を組んで――…


「そのドレス、よく似合ってるじゃん」


そう言って、いつものように笑って、口笛を鳴らす。


「似合ってるって…
健ちゃん…
そんなのん気な…。
あたし、大変だったんだからね!?」


拍子抜けしつつ、唇を尖らせたあたしの前まで歩いてきて、健ちゃんはあたしの後ろの悠を見て言った。


「悠と一緒?
よかったじゃん♪
さすが俺の――…
いや、俺と源太郎さんが立てた作戦だろ?」


健ちゃんは、あたしの頭をワシャワシャ撫でて、ウインクする。
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