コウコウセイ。
予備校に着いて、いつもの場所を陣取り、来る途中に立ち寄ったコンビニで購入した紙パックジュースにストローをさす。

夏の猛暑だけあって、水分を欲してる喉を3時間も潤わす役目が務まるのは1リットルの紙パックだ。


「ハァ…どうすればいいのかなぁ…」

「告っちゃえ!」

「いや、夏目くんのことじゃなくて…」


テンションが上昇しつつある美咲に制止をかけて、ピンクのシャープペンをぼんやりと眺めた。

受験期に母に買ってもらったそれで小論文を必死に練習して、当日の「共存について700字以内で書きなさい」とかいう意味不明な題に混乱しながらも書き上げた。
なんの奇跡が起こったかわからないけど、結果は筆記試験ナシ(つまりⅠ期。面接と小論文だけの試験)で合格。
そんな思い出のあるシャープペンだ。



それを私は最近握れない。



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