モデル同士の恋
あたしは早く帰りたいがため、
葵君と離れたいがため、

いつもより何倍もはやく歩いた。



走ってる状態に
近かったんじゃないかな。



「ねぇ、
いつもこんなに早歩きなの?」

不思議に思ったらしい、
葵君が聞いてくる。



「う、うん。
そーだね」

こんな事聞かれるなんて
思ってなかったあたしは
苦し紛れに返事だけをする。



「意外とせっかちなんだね」

葵君は意外とそういうところに鈍いらしく、
あたしのこんな状態で言ってることを
信じたようである。


すごいな…

やっぱり未来に似てるかも?


ここは普通
『はやすぎてごめんね』
とか謝るべきなのかな?


でも…
歩くスピードゆるめたくないな…



いいや、
別に葵君にすかれたいとか思わないし。


勿論嫌われたいわけじゃないけど。



あたしがずっと黙っていると、

「いつもより静かだね。
朝だから?」

とまた葵君が
不思議に思ったようで聞いてくる。


お願いだから質問攻めにしないで欲しい。



「う、うん。
眠くてちょっと」

たじろぐばかりで、
まともに答えることができない。


しかも嘘ばっかり増えてくよ。



どうしようもない。
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