本当の仲間

受け継ぎ

──春風 愛華side


言ってしまった…。まぁ別に後悔はしない。
別に…、逢えないから。もう逢えないから言っても照れくさくはない。

伊藤と別れ際に少し頼まれごとをされた。
内容は女の子らしく、買い物…らしい。
買い物なんて滅多にしない。買出しとかは下っ端にやらせてるし…。
ぶらついてはいたが…、店の中には入らないことが多い。
まぁ…実に3年ぶりだろう。
懐かしい、そんな気持ちで承知した。
行く日は明日で、丁度文化祭の代休日でもあった。

家に帰るとかあさんと出くわす。別に同じ家にいるのだから出くわす事も可笑しくはない。
だが、何やら違和感がある。嬉しそうな顔つきで…。
「…ただいま」
「フフッ、おかえりなさい、愛華。文化祭、どうだった?」
「ん…、まぁ楽しかったんじゃない?」
「それは良かったわ」
手を口元に添えて笑うかあさんはやはり品がある。

傍にあった障子が開き、親父と眼が合った。
「…特攻服持って倉庫に来い」
「…は?」
意味が分からない。どうして特攻服?
今日は走る日でもなければ記念日でもない。
「受け継ぎだ」
…あぁ。そういや文化祭で次期総長宣言をしたな。

あたしは仕方がなく部屋の壁に掛けてある黒の特攻服を持って倉庫へと向かう。
あたしの特攻服は普通の特攻服とは材質が違い、布が薄い。だからみんなの特攻服とは少し軽い。

家の玄関を出ると、出口には黒のソアラが待機している。
ソアラは一族の愛車であり、数年近く前に7代目が買ってくれた。
その為、かなり古い。でも親父が、
7代目から貰った物をそう簡単には捨てない
…そう言い、今も使い続けている。ガキの頃からの付き合い…ってもんだ。

ソアラの傍にはかあさんがいる。いつもとは違う高価な着物を着、こっちに手招きしている。
「愛華、早く行きましょ」
ニコニコ笑いながらあたしに言う。
あたしは特攻服を着ながらかあさんの元へと行き、ソアラに乗る。
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