時空を越えて…



『莉緒…?』


「…馴れ馴れしく呼ばないでよ」


『…っ』


睨み付けている莉緒を見て言葉につまった


「私…ずっとしぐれは裏切らないと思った…」

『え…』

「先生と会ってるくせに…今日も見たんだからっ」

見られてたんだ…

気付くと私のすぐ後ろは何もなく少し下がるだけで落ちてしまう

「…ムカつくのよ」

『…』

「その目見てるとムカつく」


ズキン…と胸が痛んだ


「あんたなんか…いなければ良かったのにっ!!!」

『やっ…めて』


押そうとした莉緒から逃れた私は莉緒の方を見た
だけど莉緒の姿は角にしがみつく指しか見えなかった

『莉緒!!!』

がしっ…と莉緒の手を掴むけど私一人の力じゃとても引き上げられない


「どうして助けるの?」

『私…それでも嬉しかったから』

「え…」

『初めて莉緒が話しかけてくれて…目が綺麗だねって言ってくれて嬉しかったから…それに莉緒を絶対一人にしないっ』


「しぐれ…」


『っ…』

腕が痺れてきた…


バタンっ…

「しぐれ!!!」


屋上の扉が開くと同時にお兄ちゃんの声が聞こえた

『お兄ちゃん!!!』


そう叫んだ時力が緩まり莉緒の手が離れた


『莉緒!!!』

私は勇気を振り絞り…

「しぐれ止めろ!!!」

飛び降りた

「しぐれ!!!」


『あと…少しなのにっ』

あと少しで莉緒の手が掴まれるのに…

そう思った時とても不思議な光景を見た

落ちる恐怖で目を閉じる瞬間…

目の前が歪んで見えたのだ…―


目を閉じた私はそのまま意識を手放した



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