嘘婚―ウソコン―
三橋父娘は借金を抱えていると言うことなのだろうか?

陽平は、一体何を考えているのだろうか。

借金と言う言葉に、何故三橋父娘は動揺したのだろう。

「今日の新聞、読みました?」

陽平がズボンのポケットから何かを出した。

それを三橋父娘と自分の父親の前に突きつけた。

「『三橋銀行、多額の借金を抱えて倒産』。

彼らは俺たちに借金を押しつけて、結婚しようと企んでいたんですよ」

新聞の記事の切れ端に、陽平は勝ち誇ったように笑った。

(ああ、そう言うことなのね…)

千広はようやく彼が言っていたエピローグが見えたような気がした。

ダンッ!

「一体どう言うことなんですか!?」

拳でテーブルのうえをたたいた陽平の父親に、三橋父娘はビクビクと躰を震わせていた。
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