嘘婚―ウソコン―
そこで友美の唇が止まった。

ふうっと、小さく息を吐いた後、また唇を開いた。

「あの日の夜も、陽平は飲み過ぎて死にかけだった。

その日はハートはインフルエンザで寝込んでて、ユメも表の仕事があって出勤していなかった。

私が陽平の介抱をしていた。

その時、彼が気持ち悪いから吐きに行きたいって言った。

私は近くにあったホテルに部屋を取った。

だけど、トイレまで我慢することができなくて、部屋についたとたん、陽平は吐いちゃった。

そのせいでお互いの服が汚れた。

迷惑な話でしょ?」

友美はやれやれと言うように息を吐いた。

「あの日、私お気に入りのTシャツ着てたんだけど…ゴミ箱行きになったのは言うまでもないわ」

友美が怒っているのは自分の目がおかしくなったからだと、千広は思いたかった。
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