嘘婚―ウソコン―
千広はここにきて、初めてオレンジジュースを口にした。

渇いて貼りついた状態だった喉が潤った。

「今思うと、私も若かったわ」

友美は自嘲気味に笑った。

「Tシャツ汚された腹いせに、ちょっとイタズラしてやろうって思ったの。

ああ、陽平の汚れた服はお風呂場でちゃんと洗ってちゃんと乾かしておいたわ。

あの状況を作り出すためには、彼の服は必要不可欠だから」

えらいでしょと、友美はトントンと指で自分のこめかみをたたいた。

何がえらくて、どこにツッコミを入れればいいのか。

千広は訳がわからなかった。
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