嘘婚―ウソコン―
「何か知ってるの?」

そう聞いてきた園子に対して、
「まさか!」

千広は首を横に返った。

たぶん、探してみたら他にもいるはずだ。

「とりあえず、シロおじさんに頼んで周陽平のことをなるべく早く調べてあげるから」

そう言えば園子の親戚に探偵業を営んでいる人がいたなと、千広は思った。

けど、今は関係ない!

親友の身内をとやかく言っている場合ではない。

「わかった、早くね」

千広は携帯電話を切ると、それを机のうえに置いた。

「アマネ――まさか、ね…」

そう呟くと、千広は椅子に腰を下ろした。

きっと違うはずだ。

そんな珍しい名字は、探せば他にいるはずだ。
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