嘘婚―ウソコン―
勝手な言い分に、千広は思わず強く携帯電話を握りしめた。

「犯罪だってわかっているんですか!?」

いきなり強い口調になった千広に、陽平は少しだけ携帯電話を耳から離した。

「人の名前を勝手に使って籍を入れて、あなたのやってることは犯罪も同然なんですよ!?

いや、犯罪そのものなんですよ!?」

“犯罪”を強調して言う千広に、陽平は笑いが出そうになった。

(こいつ、意外とおもしろいヤツかも)

そう思った陽平は、
「千広だっけ?」

名前の確認をした。

「…えっ、そうですけど」

名前を聞かれた意味がわからなかった。
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