嘘婚―ウソコン―
「じゃあ、ヒロか」

そう言った陽平に、
「はあ?」

千広は聞き返した。

名前が“千広”だから“ヒロ”って、訳がわからない。

千広の思ったことを見抜いたのか、
「“チー”だと当たり前過ぎじゃねーか?」

陽平が言った。

「って言うかさ、マジメだって言われない?」

いきなり話題を変えられ、千広は困った。

「だから何なんですか?」

困っていることを相手に悟られないように、千広は言い返した。

「別に、聞いて見ただけ」

しれっと、陽平が返した。

「じゃ」

「あっ…!」

ブツンと、切れる音が聞こえた。
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