嘘婚―ウソコン―
千広は口を閉じた。

信じるか信じないか――考えるように少し口を閉じた後、また開いた。

「あたしが“信じる”って、言ったらどうしますか?」

千広が言った。

信じる、か。

陽平は頬杖をついた。

女の子なら、やっぱりそうだろう。

赤い糸を信じないなんて言う女の子はいないはずだ。

今まで出会って親しくなった女友達は、赤い糸の話を信じている。

陽平は思った。

「じゃあ、どんな風に繋がってると思うの?」

また聞かれた。

千広は指切りすると言うように自分の小指を陽平に見せると、
「どんな風にって、小指と小指が赤い糸で繋がって…」
と、説明する。

一体何が言いたいのだろう。

陽平の質問の意図がわからないうえに、話の先が見えてこない。

「もし、違ってたら?」

陽平が言った。
< 92 / 333 >

この作品をシェア

pagetop